マルシェの大学院日記

大学院に合格したのはいいもののひたすら弱い筆者の日記です。

JAISTを修了しました

JAIST生活の総括

JAIST生活2年間が終わり、長い冬から解放された気分です。現在は東京で暮らしているのですが、JAISTは研究に集中できる環境ではあった半面、やはり生活に関しては不便であったなと感じています。今秋からアメリカのウィスコンシン大学の博士課程に進学するためにギャップイヤーを過ごしています。

研究に明け暮れた2年

JAISTは授業が多いことで有名で、僕自身必修単位以上に授業を取っていました。しかし4学期制であるために、授業は1-2期でほぼ取り終わっており、1年の後半はインターンやラボローテーションを行い、2020年に入ってから研究を開始しました。 インターンの話はこちらを参考にしてください。

JAISTへ入学して半年経った in タイ - マルシェの大学院日記

後述しますが、あまり就活するつもりはなかったので実績を積むために2019年の12月ころから研究を始めようと決意し、ラボローテーションで行ったプロジェクトを画像処理に特化して拡張させ、Adversarial Exampleの研究についてサーベイし始めました。(ここで、2020年の3月に修士論文の研究計画書を提出する必要がありますが、この研究とは別のテーマを選択しています) 研究のサーベイと先行研究の実装を行い、問題点を洗い出し、実際に新規性のある理論をベースに実装を行ったのですが、いまいち求めてたい結果が得られずにに修論も忙しくなったので途中で諦めてしまいました。非常におもしろいテーマだったのでまだ機会があればまた挑戦したいです!

結果実績を得られずに修論を始めたのですが、修論のテーマ設定は博士課程に進んでも使えるように、勉強もかねてベイジアンネットワークを用いた動画予測と決めて進めました。興味のある分野をサーベイする中で自分のやりたいことの新規性に悩み、指導教員の興味のある分野から離れてしまったため、あまり建設的な指導を受けられませんでした。博士課程の出願の時期も被っていたために今後自分が突き詰めたい研究分野の選定と研究室選びの大切さを学びました。

こちらもまとまって結果がでるのがかなり遅く、1月に入ってからだったと思います(修論の提出締め切りは1月の下旬でした)。そのため修了した身であるのですが、現在修論をまとめて学会へ提出し審査中です。

修論を進めていく上で感じた点として、当然かもしれませんが予めストーリーを考えた上で研究を始めるだけで格段にスムーズに進むと思いました。僕の場合は技術/理論ベースで始めたために、全体の目的や他分野の人へ説明するための「わかりやすい」説明を考えるのに時間を要しました。今後の博士課程では過程全てが博論に含まれると思うので、ストーリーのある博士課程を過ごそうと考えています。

コロナ下での授業や交友関係

2020年度はCovid19が世間を賑わせていましたが、石川は最初の方に金大でクラスタが発生したこと以外は特に大きな問題はなく、ことJAISTに至っては全く感染者が出ませんでした。授業やゼミはオンラインになり、事務や食堂の開室時間も短縮されたりと若干の変更はあったものの、研究室内にいるときなどは基本的にマスク無しで過ごしていました。現在東京にいる身としては考えられませんね、、。

2年生の間はオンライン授業で、1-1期は時間もあったため、(博士課程への進学の足切りのGPAを水増ししようと)授業を2つ取りました。授業によっては1年前の録画をそのまま流して課題方式で、テストはリアルタイムで行うというものや、Zoomでリアルタイムに授業を行い(録画もしている)、テストで集まれないので課題方式にしている授業など形態は様々でした。ただ気になった点を教授に聞きに行けなくなり、授業中にコメントを残したりメールを送ることしかできなかったためコミュニケーション不足感は否めなかったです。1年生にとっては勝手も知らず授業を受ける友達もできずに、つらい時期だったと思います。

また、同時期に指導教員が担当する授業でTeaching Assistant (TA)を務めました。割り当てられた内容はレポートの課題作成と採点で、1年前に取ったことのある授業であったため、応用した回答を期待するような少し趣向を凝らした課題を作成しました。2年の最後の方でLaboratory Assistant (LA)も務め、ラボローテーションでお世話になった金沢大学の研究室の研究に画像の分野の知見を適用する内容でした。生物という全く異なる分野に対して画像を用いた解法を提案することができ、いい経験になりました。TA、LAともにポストが空いていたという幸運もありましたが、積極的に指導教員に確認すれば任せてくれるので、余裕がある人や実績を積みたい人は一度やってみる価値はありだと思います。(もちろん給料も出ます!)

コロナ下の初期ではゼミが中止になったり、大人数での食事は禁止されていたため中々友人と会えずにしんどかったです。そんな中でも、融合の友人とたまに食事に行ったり定期的に話せたことは非常に救いになりました。僕の研究室では夏の間は完全にゼミが無かったため、友人や後輩で集まって定期勉強会を開いて輪読&ハンズオンの強化学習の勉強を行いました。特にJAISTでは自主ゼミが少なく、授業もすべてカバーできていないため、友人を積極的に誘ってみるといいかもしれません。研究室によっては教授や助教が監督をしてくれるところもあるので、難易度が高ければ監督をお願いしてもいいと思います。

研究環境

上記で述べた通り、ゼミも授業もオンラインであり、研究室が封鎖される時期もあったため秋までは、自宅から研究を行っていました。夏が終わったころから別の階にある使われていない実験室を開拓して中間発表に備えて研究していました。ちょうど中間発表が終わったころにばれて若干のお叱りが発生したのですが、当の研究室にずっと住んでいる人がいたのでそれを理由に最後まで実験室に籠っていました。

JAIST(特に情報科学棟)は景色が非常に良く、自然が溢れているので研究環境としては最高だと思います!僕の研究室は8階で実験室は9階でした。JAISTは山の上にあるため、日本海まで遮るものが何もなくたまに見える夕日や虹に心躍らせていました。コロナのおかげで友人や教授との物理的な距離を排除してくれたため、あまり孤独さを感じずにJAISTでの研究に取り組めたと思います。田舎過ぎて不便極まりないですが、研究しに来てると言い聞かせて多少は目を瞑るしかないです、、、。

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研究室からの風景

大学院受験

冒頭で述べた通り、今秋からアメリカの大学院(the University of Wisconsin at Madison)へ進学します。大学を決めた理由や応募過程などは今後出るpodcastに収録してありますので、興味があれば是非そちらを聞いてください。ここでは、そもそもJAISTにいながらなんで外部の、しかも海外院に行くの?という疑問に対して回答しようと思います。

僕が現在所属しているのは画像処理の研究室で、修士論文は動画予測について研究を行いました。1年のころは博士課程か就活かまだ迷っていて、どちらにも踏み出せずにいました。学部のころも半々で行動していたので、あまり進歩してないですね、、、。研究は面白いと思いつつもそこまで結果が出せているわけでもなく、修了までに5年間という時間が必要なわけなので、かなり迷いました。そんなときにタイで出会った修士卒で独立して事業を行っている方に相談したところ、「時間なんて人生において大した問題じゃなくて、それが一番成長できる方法ならやるべきだよ。」と言われ、全くのその通りだと思い決心しました。それ以来博士進学に全力を尽くすことができたので、相談してよかったと思います。

次に、研究室選びですが、まずJAISTでの進学は念頭にありませんでした。石川という立地とやはり周囲に友人が少ないこと、また自研究室との興味の方向性が変わってしまったこと、馬が合わなかった、というネガティブな要因と、海外で生活、研究してみたかった、というポジティブな要因で海外の大学院を受験することにしました。後は博士課程では交通工学の研究をしたかったので、やはり海外の方が研究→リアルのつながりが近いと感じ、そちらを選びました。(JAISTには該当分野の研究室存在しません。)もちろん研究費が多いなどの理由もあります。

応募は2年生の11月から1月で、大体夏前からTOEFLを受けたりと徐々に準備し始めました。ここらへんで奨学金応募の締め切りがあるので、出す人は気をつけましょう。(僕はTOEFL足切りに引っかかって出せませんでした。)夏に分野のサーベイと研究室選びを行い、SoPで書けそうなことをリストアップしておきます。希望の研究室で学生を募集しているのか、興味が一致しているのかなど確認するために、予めCVとWebSiteを準備し、やりたい研究の方向性などを決めて連絡していました。この時点で自分に興味を持ってくれているかがなんとなくわかります。9月に入ると最後のTOEFLGREを受けました。(結果待ちの期間もあるのでかなりギリギリだと思います。)応募の締め切り2か月前くらいだったので推薦状を書いていただく先生方に連絡し書いていただけるかのお願いもこの時期にしました。(内訳:修士指導教員、学部指導教員、タイ指導教員)

最初の締め切りが11月末だったため、そこを目標にSoPをメインで準備を進めました。SoPはどこも8割くらいは同じで、なぜこの大学なのか、という部分を変更していました。1校出してしまえばあとは割とスムーズです。ただ、応募フォームによっては入金しないとSoPが出せなかったりするのでSoPの要件を確認するためにも、ダミーアカウントでもいいので早めに登録しておきましょう。

SoPの添削、応募の流れやその他たくさんの質問への回答はXPLANE(

http://xplane.seldoon.net/

)というコミュニティで行っていただいたので、この場を借りてお礼申し上げます。少しでも海外の大学院留学に興味ある方は学部1年でも社会人でも入っておくことをおすすめします。

学部も修士もそうですが、卒論、修論の時期と丸被りするので準備は早め早めにしましょう、、、。

全体を通して

結果として修士号JAISTで取ったことは、よかった面が多かったと思います。JAISTは石川という田舎であるがゆえの研究に集中できる環境づくり、研究に対するサポート(奨学金やpcの支給、サーバーの使用)、幅広い分野間での距離が近いこと、などさまざまな研究面での利点が挙げられます。特に融合では金沢大学にも行けて、いくつかの研究室にもお邪魔させていただいたので、いい経験ができたと思います。

また、JAISTは人との距離が近く、研究界隈の人が集まっているので気軽に分野横断での友人ができ、一緒に勉強会をしたり鍋パや日食の観察、ボードゲームをしたのが思い出深いです。バスケサークルでは9割留学生でしたが、留学生コミュニティにも顔が利くようになり、何よりも週1で身体を動かすのは気分転換にもなったのでサークルに所属するのはおすすめです!

今後JAISTを受験される方、現在所属している方には就職や内部進学以外にもこういった道があるってことや、JAISTの生活が少しでも伝わりましたら嬉しいです。また修了された方は今後どこかで出会うかもしれないし、アメリカに来られた際など、是非ご連絡してください!また、JAISTや大学院受験に関する質問はTwitterアカウントのDMにお願いします。(

Ray (@raynbowy23) | Twitter

秋からはアメリカ編です。